2014年2月28日金曜日

「ルターの祈りの本」 十戒(その15)


殺してはならない。(その3)


第三に、私はざんげします。
そして、自分自身とこの世の悪さを嘆きます。

私たちには、このようなあなたの父親的な愛と配慮に対して、
感謝の気持ちがまったくないのです。

恥ずべきことに、私たちはあなたの戒めと教えを知らないし、
学びたいとも思っていません。

私たちは、この戒めを
自分には何の関係もないものであるかのように考えて、軽視しています。
私たちは、少しも反省しないまま、以前と同じ生活を続けています。

この戒めに反して、
私たちは隣り人を軽んじて助けようとせず、
さらには迫害し傷つけ、あるいは心の中で殺しさえしています。
しかも、そのようなことをしても、心を痛めたりしません。

私たちは、激しい怒りやあらゆる悪に身をゆだね、
そうすることで
自分が正しくよいことをやっているかのようにさえ思い込んでいます。

神様の真剣な戒めに対して畏れを抱きもせずに、
私たちは、獰猛な野獣のように、
互いに蹴ったり退けたり、切り裂き引っ掻き、
噛みつき食いつき合っています。

私たちは、悪い子どもです。
ちゃんと物事が見えず、凶暴で、不親切な人間です。

ですから、
このような私たちが自分の悲惨さについて、
嘆きの叫び声をあげるのは、いたって当然なのです。


2014年2月26日水曜日

「ルターの祈りの本」 十戒(その14)


殺してはならない。(その2)


第二に、あなたが私を、
言葉では言い表せないほど、
誠実に愛し世話してくださることを感謝します。

あなたは、私の身体の周りに、強大な防壁を築いてくださっています。
それによって、
すべての人は私を守り保ち、
同様に、私のほうでも他のすべての人を守り保つように、
義務付けられているのです。
あなたもまた、このルールが守られるように見張っておられます。
もしもそれが守られないならば、
あなたは、規則を破る者たちを罰するために、剣を用意なさっています。

ここで、
仮にこのようなあなたの戒めが存在しなかったとしましょう。
その場合には、
悪魔が私たち人間の只中で殺し合いを行わせて、 
誰一人、一瞬たりとも安心して生きていけないようにすることでしょう。
あなたに耳を傾けず感謝もしないこの世をあなたが怒って罰する時には、
実際にこのようなことが起こるのです。



2014年2月24日月曜日

「ルターの祈りの本」 十戒(その13)


殺してはならない。(その1)
 
  
第一に、ここであなたは私に教えてくださっています。

愛する神様、
あなたは私が隣り人を愛するように要求なさっています。
それは具体的には次のようなことです。
私が隣り人に対して、
身体的にも言葉や行いによっても何も悪いことをしないこと、
また、隣り人に対して、
怒ったり、忍耐できなくなったり、
嫉妬したり、故意に意地悪したり、
何か他の悪さをすることで、
復讐したり、損害を与えたりはしないこと、
そして、人生のいかなる局面でも、必要に応じて、
隣り人を適切な助言によって助ける義務があることを、
留意しつつ行動することです。

この戒めによって、
あなたは
私に隣り人の身体を守るという義務を与え、
また、隣り人には私の身体を守る義務を与えておられます。
(旧約聖書続編の)「ベン・シラの書」は、
神様は各々に隣り人を守る義務をお与えになった、
と書き記しています。[1]



[1] 「シラ書」1714節、あるいは、1813節をさしているものと思われます。

2014年2月21日金曜日

「ルターの祈りの本」 十戒(その12)


 
父と母を敬え。(その5)


   
もしもこれを読んでいるあなたが父親や母親ならば、
自分や子供たちのことを忘れないで、真剣に次のように祈りなさい。


愛するお父様、
あなたは自らの御名と職務の栄光のために、
社会における立場を私に与えてくださいました。
さらに、私が親と呼ばれ、親として敬われるように、
あなたは望んでおられます。

神様に喜んでいただけるように、
キリスト信仰者にふさわしいやり方で、
配偶者と子供たちに支えを配り、
彼らを養っていくことができるように、 
あなたの恵みと祝福とを私に貸し与えてください。

家族に良い教育を施すことができるように、
あなたの知恵と力を私にお与えください。
あなたの教えに従順であるように、
善い心と素直な意志を彼らにお与えください。

子供たちが順調に成長して、ちゃんとした生き方ができるのは、
ひとえにあなたからの賜物です。

あなたからの支えがなければ、家族という秩序は壊れてしまいます。
それは、
神様をないがしろにして悪い生活をしている人々の有様をみれば、
わかることです。

ですから、どうか私たちを御恵みの中に保ってください。
アーメン。